外壁材について(ALC板VSサイディング)

公開日:2010/10/15 23:40


木造住宅の外壁材は、いろいろな種類があります。
 昔ながらのモルタル塗り+塗装仕上げ、サイディング張り、パワーボード張り、
などなど、どれがいいのかわからないと思います。
私なりに、思ったことを書いてみましたので、ご参考にしてみてください。
 まず、旭化成の外壁材「パワーボード」について
 
 パワーボードは、木造住宅外壁用に作られたALC板(軽量気泡コンクリート板)です。
 
 JIS A 5416 軽量気泡コンクリートパネル に規定されています
  ①ALC厚形パネル:厚さ75mm以上のパネルを指します。
        一般的に、100mmのものが鉄骨造建築物等に使用されています。
  ②ALC薄形パネル:厚さ50mm未満のパネル 35mmと37mmの二種類を規定しています。
  
 パワーボードは、薄型パネルに該当し、厚さは37mmです。
 
 ALCとは、原料を高温高圧蒸気養生し製作したもので、コンクリートの中に気泡を混ぜ込むことで、強度があって重量を軽くすることができた素材です。
 耐衝撃性、耐火性、断熱性、遮音性に優れています。
(詳しくは、旭化成パワーボードのホームページを参照ください。
  http://www.asahikasei-kenzai.com/akk/pb/index.html   )
 
 オールマイティーな性能の外壁材という感じがします。
 
 木造住宅の外壁材には、「サイディング」というものが良く使われています。
 窯業系、金属系がありますが、窯業系サイディングとは、繊維補強セメント板などです。
 
 JIS A 5422 窯業系サイディング に規定されています
 
 厚さは、12mm~25mmまであり、デザインもさまざまなバリエーションがあります。
 無塗装品、塗装品両方あり、いろいろな表現ができます。
 
 パワーボードは、無塗装品しかありませんので、現地で塗装工事が必要です。
 
 
 パワーボードと、窯業系サイディング、どっちがいいのか?
 パワーボードはオールマイティーな感じがするから、そっちのほうがいいのか?
 
 それぞれを比較検討してみます。
 
パワーボード t=37
・質量=22kg/㎡
・曲げ強さ=862N
・熱伝導率=0.151W/m・k
 
窯業系サイディング t=12
・質量=10kg/㎡
・曲げ強さ=690N以上
・熱伝導率=0.20W/m・k
 
 熱伝導率を比較すると、パワーボードの方が優れていることがわかります。
 1.3倍くらいの断熱性能で、厚みも3倍あるので、断熱性、耐火性では、パワーボードの勝ち。
 質量を比較すると、パワーボードの方が2倍重たいです。厚みも3倍あるので、
パワーボードの方がかなり重たいことがわかります。
 地震時は、「地震荷重は自重に比例する水平加重であるから、重い構造は耐震性ではマイナス要因である
(著書:力学と構造フォルムより)」ことから、木造住宅の耐震性は窯業系サイディングの方が
有利ということがわかります。
 
 曲げ強度を見ると、パワーボードの方が優れているようですが、木造住宅の場合の耐震性能は、
耐力壁が負担する考えなので、外壁仕上材の強度では壁倍率は変わりません。(補助的に効果はあると思いますが)
 ですので、重い外壁材を使う場合は、耐震設計の際に考慮が必要だと思います。
 
 以上より、外壁仕上げ材を選ぶに当たっては、
・意匠性(デザイン)
・耐火性・断熱性
・遮音性
・耐震性
 などいろんな面で検討し、優先順位の高いもので決定する必要があります。
 パワーボードも、オールマイティな外壁材ではありませんので、建築業者さんなどと相談しながら決定してください。