建築業界の体質(2)

公開日:2008/04/02 15:35


 基礎工事業者さんと、話しをする機会がありました。
 
「材料費は上がってるのに、発注費は上がらなくて大変」
 
 物価上昇、原油高騰、鉄鋼の価格上昇・・・、材料単価はどんどん値上がりしています。
 ガソリンや小麦粉、トイレットペーパーなど、生活に直結する物の値上がりは社会的に騒ぎになっていますが、コンクリートや鉄はあまり一般の方にはなじみが無いと思います。
 
 基礎工事に必要なコンクリート、そして鉄筋の材料費も、例外なく上昇しています。
 でも、建物の坪単価、売値はそんなに上昇してないんです。
 それはどういうことかと言うと、材料費がUPした分、人件費をカットしてつじつまあわせをしています。
 でも実際は人件費カットには限度があります。
 工事現場で、基礎工事の職人さんが経費削減って、何ができるんでしょう?スピードアップや効率化は機械じゃないので出来るわけも無く・・・。
 ということで、人件費カットできず会社利益を減らしていくことになります。
 
 基礎工事や、大工工事、電気工事etc、下請け業者さんは、元請け会社の工務店やハウスメーカー、建設会社から仕事を貰うことになり、直接自分で建築主(お客さん)から仕事を受注するのは難しいことです。
 ですので、元請け会社が仕事を受注しないことには、仕事にありつけない訳です。
 元請け会社の業績や采配に影響を受けるのが、下請け業者さんの宿命です。
 
 そんな体質なので、材料費UPに対して発注費のUPを元請け会社に要求しても、なかなか応えて貰えず、逆に金額の高い下請け業者さんより、別の安い業者さんに変えられる可能性もあります。
 
 元請け会社さんの立場も、住宅を商品化して価格設定しているので、見直しを頻繁に行うのは手間がかかります。
 下請け会社の要求に伴って販売価格をUPすると、売れなくなってしまうのでそれもできない、でも自社の利益は優先して確保する必要がある。結局下請け業者さんに我慢してもらうのが、一番てっとりばやい方法なんでしょう。.
 本当の姿は、材料原価、施工原価をきちんと出して、それに利益を加えて販売価格を設定するはずですが、実情は販売価格が先に決まって、そこから利益を引いた残りが原価になって、それを割り振っている状況です。.
 販売価格を安くする為に、同等の仕様でちょっとでも安い材料を選定することや、手間をかけず施工できる納まりを考えること、そうやって物価上昇にともなう材料費の動向をみながら計画することが大切だと思います。.
主要建設資材価格動向
http://www.kensetu-bukka.or.jp/data/index_kakaku.html.
主要建設資材市況同行
http://www.kensetu-bukka.or.jp/data/index_shikyou.html